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志摩は、持っていたモップを用具入れに戻すと、俺に手を広げる。
俺は、走ると志摩の手の中に飛び込んでみた。
「守人さん、キャッチ!」
「俺はボールか?」
でも、志摩の手の中は気持ちいい。
俺は、上月 守人(こうづき もりと)薬剤師を目指す大学生であった。
この手は志摩で、俺の出身地である壱樹村では、×(ばつ)と呼ばれる存在であった。
×は、人よりも遺伝子が多く様々な形をしている。
志摩も、本体は無形でウミウシかアメフラシ、もしくはナマコのような形をしているが、
伸びてくる手は人のものであった。
しかし、手は畳よりも大きくもなり、俺をキャッチして包み込んでいる。
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