191人が本棚に入れています
本棚に追加
/547ページ
俺は、志摩の手から出ると、レンジで黒川の食事を温める。
黒川は、椅子に座って、俺が食事を持ってゆくのを待っていた。
そして、黒川に食事を渡すと、嬉しそうに笑った。
「黒川さんでも、笑顔は可愛いですね」
「可愛いだと、上月、いつから、そんなに生意気になった!」
黒川は、食事をテーブルに置いてから、俺をヘッドロックしていた。
「でも、御影屋はちょっと物騒だな……」
黒川の知っている御影屋というのは、少し特殊な店であった。
昔は、電話もあまり普及していなかったので、個人に連絡を取るのが難しかった。
手紙を書いたり、家族に伝言しておいたりするが、伝わらない事も多い。
御影屋は、死に対してのみ、相手に確実に教えるという商売をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!