第一章 千年時計

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 俺は、志摩の手から出ると、レンジで黒川の食事を温める。 黒川は、椅子に座って、俺が食事を持ってゆくのを待っていた。 そして、黒川に食事を渡すと、嬉しそうに笑った。 「黒川さんでも、笑顔は可愛いですね」 「可愛いだと、上月、いつから、そんなに生意気になった!」  黒川は、食事をテーブルに置いてから、俺をヘッドロックしていた。 「でも、御影屋はちょっと物騒だな……」  黒川の知っている御影屋というのは、少し特殊な店であった。 昔は、電話もあまり普及していなかったので、個人に連絡を取るのが難しかった。 手紙を書いたり、家族に伝言しておいたりするが、伝わらない事も多い。 御影屋は、死に対してのみ、相手に確実に教えるという商売をしていた。
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