第一章 千年時計

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「……個人を特定するという事もしていて、誰が死んだが分からない場合など、御影屋に頼った。 すると、遺体の名前などを教えてくれる。 他に、御影屋が死んだと言えば、それは死になった」  現在は、DNAなどが普及し、御影屋を頼るということは無くなっていたらしい。 「そうですか……でも、道を聞かれただけなので。それに、その御影屋と違うかもしれないし」  そこで、俺が志摩を見ると、志摩が手を開いていた。 バイトに行くまでの僅かな時間が、志摩と触れ合える時間となる。 そこで、志摩に走ってゆくと、おもいっきり飛び込んだ。 「志摩!」  志摩は俺をキャッチすると、手に握り込んで存在を確認していた。 志摩の指だけで、俺の腹ほどもあるのだが、触れ方は優しい。 それに、まるであやすように、指で俺を転がしていた。
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