『飼育少年~ベタベタしたいお年頃~』★700お礼SS

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『飼育少年~ベタベタしたいお年頃~』★700お礼SS

夏休み明けすぐに、実力テストなるものがうちの学校では行われる。 主に夏休み勉強をサボってなかったのかを確認するためのもので、成績にはあまり響かないらしいけど、それでもやっぱりあまり点がよくないと母親がうるさいので、それなりには勉強しないといけない。 「まあ、試験範囲はほぼ夏休みの宿題っていうのが救いだけどさ……」 試験初日を終え、数学はだめだったけど、日本史は平均はいってるだろうと思いながら、津田と肩を並べて歩く。 「宿題終わったのも、半分以上津田が手伝ってくれたからなー」 「深山君は数学、中学のときのさらい直しをした方がいいかもね」 「うっせー」 「良かったら僕教えるけど?」 「うう……それは魅力的かも……」 9月に入ったとはいえ、まだ熱くほとんど夏だ。 「そういえば、今年は海行き損ねたな……」 ぽつんと津田が言う。 「えっ、お前海とか行くの?」 「行くよ。主に磯の生物の観察だけど」 「あ……なるほどね」 夏の海っていったら、砂浜! 水着の女子! ってイメージだけど、津田はそっちじゃなかったか。 まあ当たり前だ。 「そうだ、明日試験午前中には終わるから、ちょっと海行ってみないか?」 俺たちの住んでいるところは、海から離れているけど、電車で2時間もあれば水族館もある有名な海岸まで行ける。 「海の家は閉まって海水浴客はいないだろうけど、砂浜で波打ち際で水遊びくらいだったら出来そうじゃね?」 「それは悪くないね。いつも磯ばかりだったから、砂浜は行ったことがないな」 「お前、生き物が絡まないと行動しないもんなー」 「そんなことはないよ。今は、深山君が絡めば、どんなことだってするよ」 形のいい唇がほんの少しだけいつもと曲線を変えるだけで、びっくりするほど柔らかい微笑になるのを見ながら、俺はやっぱこいつ顔がいい、とちょっと悔しくなる。 なんでこんな美形が平凡な俺みたいなのをずっと好きでいるんだろうなーと思うと、ちょっと胸が痛い。 「どうしたの?」 「いや、なんでもない。明日の英語のこと考えて、ちょっと気が滅入った」 「あ、英語なら、教科書の……が出ると思うよ」 「マジか? そこ絶対やっとく」 「頑張ろうね。ああ、明日のデート、楽しめるようにしっかり復習しておかないとね」 津田の言葉に俺ははっとする。 (あ……デートか、そうか……そういうことになるか……) 「制服のまま海デートとか、ちょっと青春っぽいな」 普通はかわいい女の子との妄想が広がるんだろうけど、どうしても脳裏には津田しか出てこない。 「……なんか、ちょっとうれしいな。誰かと一緒に海に行くなんて、僕には一生縁がないと思ってたから」 「じゃあ、明日はいっちょ気合い入れるか!」 「うん、そうだね」 話がついたところでちょうど、津田と別れる道だった。 「勉強、わからないところがあったら電話してきて」 「いいのか?」 「うん、人に教えるのもいい勉強になるし」 くうっ……成績のいい奴はやっぱ違う。 「じゃあまた明日」 「ああ」 津田のすらりとした後ろ姿を見送りながら、俺は口の中で小さく「あーした天気になーあれ」と歌った。 スタ-700とか……ありがとうございます。 読んでさらに★まで押してくださる皆様に感謝を!
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