STOP！

初めての夜

転校生の事なんてすっかり忘れて遊び続けて、家に着いたら薄暗くなってた。

祖父ちゃん怒ってるかなぁ。

恐る恐るドアを開ける。

鏡に向かって薄くなった白髪頭を整えてる。

服も一番のお気に入りを着てる。

大丈夫、ご機嫌だ。

「おお、やっと帰ったか。行くぞ」

「え、どこに？」

「芝居観に行くんだって昨日言っただろ……汗臭いな、急いで着替えて来い」

そうだった、忘れてた。

でも……。

「祖父ちゃん腹減った」

「クリームパン買ってあるぞ。着替えてから食……着替えてからっ！」

もう遅い！

クリームパンを牛乳で流し込む。

牛乳うめー。

「口の周りに牛乳の跡付いてる！　顔も洗って来い」

慌てて歯と顔を洗って、お気に入りの赤いTシャツとジーパンに着替える。

絶対赤いスニーカーにしよう。