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「あいつはもう学生じゃなくなって、そしてお前も、あいつの保護者じゃない」
「わかってるよ」
喉の奥に苦い思いが広がっていく。わかってる、そんなこと。
「もう、あいつを守らなくてもいいだろう。周を手離せば……お前はきっと楽になれる」
「楽になりたいわけじゃない」
思わずつぶやいてしまって、喬史に苦笑いをされる。
だってそうだろう。楽になりたくて、人は恋をするわけじゃない。もちろん苦しむためにするわけでもないけれど。
そんなふうに自分でコントロールできないものをたぶん、恋と呼ぶのだ。
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