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【「BAR シノワ」6月】
表の灯りを落として戻ってきた喬史に、遥輝は軽くグラスを掲げてみせた。
「ごめん、遅くに」
喬史は「いいよ、どうせ閉めるとこだった」と笑いながらカウンターの中に戻る。
からからとグラスの中で揺れる氷の音に誘われて、遥輝は自分の心も少しだけ揺れているような気がした。
「今日は、周はどうした?」
喬史の声に、我に返る。
「たしか……会社の人と飲むって言ってた」
「へええ。あいつがまともな社会人になってるなんて、信じられないな」
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