第三章 初恋、そして封印

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小さい頃、私の髪はいつも父によるホームカットだった。 それはお世辞にも上手とはいえないものだったらしいけれど、当時の私は気にしたこともなかった。 しかし小学校一年の夏、左右の長さがなかなか揃わず苦戦しているうちに、極端に短くなってしまったらしい。 夏休みだから九月までに伸びるよと気休めで慰められたものの、その頭でプールに出かけた私は、女の子用の水着を着ているにもかかわらず、男の子と間違われ更衣室前で呼び止められるという屈辱の事態に遭った。 今思えばその従業員に罪はなく、あまり可愛いとはいえない坊主のような顔立ちに髪型も相まって、余計に女の子らしく見えなかったのだろう。 その時の惨めさと、派手に大泣きしたことは今でも覚えている。
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