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私が今井遼太郎と出会ったのは、小学校五年生の春だった。
その日は汗ばむような陽気で、私は西に傾き始めた日差しに染まる路地を自宅に向かって急いでいた。
手にしているのは、今日、担任の先生から返却されたばかりの図工の作品だ。
それには「金賞」と書かれた金色のリボンが張り付けられている。
これまで、そのリボンを貰ってくるのはいつも姉の美穂だった。
いつか自分も取りたいと願っていた金賞を初めてもらった私は、早く母親に見せたくて待ちきれなかった。
この絵が思わぬ出世でしばらく校長室前に飾られていたせいで、学年を越してようやく返してもらえたのだ。
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