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うちには姉しかいないので、道ですれ違う学生たちは別として、私は学生服姿の男子を間近に見るのは初めてだった。
かっちりとした学生服に包まれた黒い背中はすらりと高くたくましく、いつもTシャツばかりの同級生の小柄な男子たちとはまったく違って見えた。
いきなり乱入してきて背後で止まった足音に、彼も驚いたのだろう。
肩越しに顔だけこちらに振り向いた。
その瞬間、走ったせいで激しく打っていた私の心臓が、バクンと音を立てて一つ飛ばして打った。
同時にひどく緊張した。
父親や学校の先生たちのような存在でもなく、クラスの幼稚な悪ガキでもない。
初めて〝男性〟を意識したのかもしれない。
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