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すると、見慣れぬ来訪者に驚き固まった私に、学生服の彼は無表情のままこちらに軽く会釈をした。
驚いて心臓が再び一拍飛ばしたけれど、母の言いつけを思い出して挨拶を返す。
「こ……こんにちは」
頑張った割には小さな声しか出ない。
しかも、元々上気していた頬がさらに真っ赤に染まるのが分かった。
それが決まりの悪さに拍車をかけ、玄関に駆け込みたくなる。
その時、母の朗らかな声が響いた。
「まあ、莉穂ったら、そんな大声出して」
玄関の奥から母が笑いながら出てきた。
その後ろには見知らぬ女の人もいる。
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