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「あ、莉穂ちゃん家ここか?」
私が立ち止まったので、壽崎くんも立ち止まる。
壽崎くんの手で丸出しになった私の額に、遼太郎の冷ややかな視線が注がれた。
でも、何か言われるのかと思いきや、遼太郎の視線は一瞬ですっと外れ、彼はそのままさっさと家に入って行った。
わかってた。
ヤキモチ作戦なんて、遼太郎には意味がないってこと。
まるで無関心なのだから。
面と向かって迷惑だと言われるのと、どちらがましだろう?
「あれっ、今のって兄ちゃん? いたっけか?」
二階の姉の部屋に点いた明かりを眺めながら、私は壽崎くんの声をぼんやり聞いていた。
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