初恋、そして封印-2

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「お前コブならさ、こっちに合流すれば?」 「そうだよそうだよ」 「え、でも……」 たとえコブでも、私は遼太郎と花火を見たい。 騒々しい面々はなかなかしぶとかったけれど、ようやく断って別れを告げる。 「お姉ちゃん、ごめーん! ……お姉ちゃん?」 ところが、姉がいるはずの木の下に、姉の姿はない。 慌てて辺りを見回したけれど、人混みばかりで姉は見えなかった。 もしかして何かスナックでも買い足しに行ったのかもしれない。 昔、姉と出かけた時に何度も言われたのは、 〝はぐれたら動いちゃ駄目〟ということだった。 待つのは私、動くのは姉、と役割分担ができていたのだ。 その通りに木の下に立ち、人の流れに目を凝らしながらひたすら待つ。 でも、いくら待っても姉は現れなかった。
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