初恋、そして封印-2

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立ち話をしていたのはせいぜい数分なのに、姉は気を利かせて立ち去ったのだろうか? 「そんな……」 途方に暮れて立ち尽くす。 はぐれてから、かれこれ三十分になろうとしている。 ここに居ても、もう会えないだろう。 姉のように携帯を持っていないので、遼太郎の場所もわからない。 とうとう私は当てもなく歩き始めた。 手にしたジュースの氷は溶け、濃かったオレンジ色が水のように薄くなっている。 打ち上げ会場まで進んだところで、その人の多さを見て、私は二人と会える望みを完全に諦めた。 こんなに暗い中、これだけの人の中から、どうやって二人を探し出せるだろう? 家に、帰ろう。 選択肢はそれしかなかった。 姉が私を探しているかもしれない。 母から姉の携帯に電話してもらって、私が家に戻ったことを知らせなければ。
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