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「莉穂―!」
突然、後方から姉の声と駆け寄ってくる二つの足音が聞こえた。
「莉穂! 探したんだよ」
それは、姉と遼太郎だった。
「お姉ちゃんたち、花火は……?」
驚いて口を開きかけた私を、遼太郎が一喝した。
「花火なんかどうでもいいだろ! 男の集団に女が一人でついていくなんて、危ないと思わないのか?」
「え……? 私、ついていってなんか……」
反論しかけたけれど、初めて見る遼太郎の怒った顔に口ごもる。
街灯の明かりで、遼太郎の額には汗が滲んでいるのが見えた。
自分の行動の何がいけなかったのか分からず、助け舟を求めて姉の方を見たけれど、姉は顔を逸らしていて視線は合わなかった。
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