初恋、そして封印-2

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姉は少し距離を取ってこちらに背を向けると、携帯電話をかけ始めた。 「あ、お母さん? 見つかったから。……うん。残りの花火見て帰るね。……うん」 姉の声を聞きながら項垂れる。 姉たちだけでなく家でも騒ぎになっていたらしい。 でも、どうして姉はあの木の下で待っていてくれなかったのだろう? どうして事実とは違うことになっているのだろう? 私は間違ってなんかいないのに……。 「目を離した美穂が悪いんだけどな」 少し優しくなった遼太郎の声が降ってくる。 そうじゃない。 そこじゃない……。 納得できない悔しさと、花火大会を台無しにした恥ずかしさと、好きな人に誤解された悲しさで、両頬に涙が流れた。 「何も危ない目に遭わなかったか?」 声もなく黙って頷くと、ごそごそと音がして、タオルが頭にかけられた。 遼太郎のものだろう。傷ついた心に遼太郎の優しさが染みて、ただ痛くて辛かった。
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