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二人に届けるはずだったジュースを床に置き、茫然とベッドに腰かける。
今見た光景が嫌でもまざまざと蘇ってくる。二人はぴったりと密着していて、こちらに背中を向けた遼太郎の首には姉の腕が巻き付いていた。
裸だったわけではない。
でも、これまでテレビに男女のキスシーンが出てくると母がすぐにチャンネルを変えてしまうので、私にはまったく免疫がなかった。
自身の経験はもちろんない。
私にとって、身内のそれは吐き気がするほど衝撃的だった。
かなりの間放心したあと、私は自分を激しく責め始めた。
そうだよ、有り得ないじゃない。
毎週二人きりで部屋にいて、放課後も一緒に帰って、わざわざ遠回りして姉を送ってくるほど大切にしてるのに。
花火大会だって約束してたのに。二人の間に何もないわけないじゃない。
なのに遼太郎に片思いをするなんて、どこまで私はおめでたいのだろう?
両手で顔を覆い、ひたすら自分を詰り、ひたすら自分を恥じた。
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