初恋、そして封印-2

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「前髪あげてみる? 浴衣っぽくていいわよ」 母はそう言いながら私の前髪を結い上げていく。 私は姉のような綺麗な瓜実顔ではないし、鼻も低い。 前髪というカモフラージュを失った顔は造作の平板さがあらわになり、途端に私は落ち着かなくなった。 「前髪ある方が良くない?」 そう声をかけてみたけれど、私のコンプレックスを知らない母は構わずスプレーで固めてしまった。 強い香りが顔にもかかり、思わず顔をしかめる。 「そう? ほら、できた。美穂とお揃いね!」 母親というものは〝お揃い〟を喜ぶらしい。 母親の目には、娘はどちらも平等に可愛いのだろう。 でも、浴衣も髪型も条件を揃えられると、素材の違いがこれでもかと強調されてしまう。
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