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グラスの氷がすっかり溶けきる頃、姉の部屋から二人が出てきて一階に降りていくのが聞こえた。
やがて玄関のドアの音が響いたあと、姉の足音が二階に上がってきた。
「莉穂、いい?」
「……いいよ」
頬の涙はもう渇いている。
唇をぎゅっと噛みしめて頬をもう一度こすってから、私は返事した。
ドアが開いても、私は姉の顔を見ることができなかった。
気まずいからだけではない。
姉の顔に、さきほどの余韻を見るのが耐えられなかった。
初めて見たあの場面は男女のことに無知な私にはあまりに生々しく、しかもそれが好きな相手なのだから,なおさら衝撃はひどかった。
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