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「そんな心配、要らないよ。否定しといてよ。あの人ちょっと怖いから苦手だもん。私、優しい人の方がいいし、クラスに好きな人いるし」
言い過ぎだと思うのに、致命傷を悟られまいと口が必死に言い立てる。
これ以上耐えられないと思った時、ようやく姉は腰を上げた。
「そっか。良かった。安心した」
床のお盆を拾い上げてから、姉はドアの前で振り返った。
「でもさ、遼太郎のこと怖いかもしれないけど、嫌わないであげてね。だって……」
だって……?
姉の照れたような微笑みは、こんな時でも私に何かを期待させる。
たとえ次に来るのがどん底であっても。
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