初恋、そして封印-2

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「だって将来、莉穂の義理のお兄さんになるかもしれないじゃない? そうなったらいいなって。応援してね」 弾むような声を残してドアが閉まったあと、軽やかな足音が階段を降りていった。 さきほどの水っぽくなったジュースを台所に持って行ってくれるのだろう。 誰も手をつけた形跡のないグラスを、母にうまくごまかして返してくれるに違いない。 でも、そんなことは有難くも何ともなかった。 土足で踏み荒らされたように泥だらけの心で、私はしばらく白い壁を見上げていた。 失恋、しただけ。 世の中の人の数だけある、ありふれた経験だ。 そう言い聞かせても、胸にぽっかりと空いた空洞は底の見えない深さだった。 恋を失うのと同時に、同じぐらい大きなものを失った気がする。 たった一人の姉だ。
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