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〝彼にとって結構負担みたいだから〟
〝遼太郎が来るようになってからお洒落するようになった〟
姉が投下した言葉の毒は心の深くに沈着し、その後もじわじわと私を苦しめていた。
リップクリームを塗ったり、
髪の結び方をアレンジしてみたり、
服を大人っぽくしてみたり。
そういう私の努力は、きっと彼にとって鬱陶しいものだっただろう。
あれから遼太郎に嫌な思いをさせないよう気をつけているのに、彼はよそよそしく、私を避けたい様子だった。
私が彼を避ければ避けるほど、それはいっそうひどくなっている気さえした。
姉とのキスを私がわざと覗いたと誤解しているのだろうか?
恋愛感情に気づかれているだけに、私の立場は苦しかった。
ただ一つ、迷惑だと彼から直接言われたわけではないことだけが救いだったが、そんな私がこの恋を絶たねばと決意したのは、冬が終わる頃に起きた、ある小さな出来事だった。
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