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屋台を覗きながら、三人で焼き鳥やハニーカステラをつつく。
ヨーヨー釣りや金魚すくいはその後が困るのでやらなかったけれど、縁日ではしゃぐ人混みに身を任せているだけで楽しかった。
「あ、射的なら良くない?」
姉が射的を見つけて声を上げた。
「遼太郎、あれ取ってよ」
姉が指さしているのは一等賞の景品棚にあるクマのキャラクターの大判レジャーシートだ。
「あとで花火の場所取りするのにもいいし」
「ああ、確かに」
姉のおねだりに遼太郎もその気になり、射的の前に立った。
持ち玉は五発で、遼太郎は三発目で一等に当てた。
「私もやりたい!」
見ているうちにやりたくなった姉も参戦したけれど、残念ながら全て外れてしまった。
こういう時、美人は得するもので、姉はよくオマケをもらう。
「お姉ちゃん、コレあげるよ。特別ね」
射的のおじさんは五等の商品の中からクーラーボックスに入れてあった棒付きアイスを姉に手渡した。
姉はアイスを掲げながら笑顔でこちらに戻って来た。
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