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「はい莉穂、あげる! オマケしてもらっちゃった」
有難い反面、遼太郎の目の前で、しかも食べるのは私が単独というこの状況に尻込みする。
「莉穂ね、このアイスが大好きなんだよ」
遼太郎にこんな説明までされると引っ込みがつかない。
アイスの袋を開けて急いで食べ始める。
でも、アイスは最初から緩んでいた。
気前のいいオマケは、どうやらクーラーボックスでは保冷能力が足りず困っていたという事情もあるらしい。
のろまな私は冷凍庫から出したばかりのカチカチに凍ったアイスでも間に合わず苦労するのに、こんな条件下で無事に食べ終えられるはずがない。
もはやそぞろ歩きのスピードにもついていく余裕がなく、二人には出店を見ているように頼み、私は路肩に寄ってアイスに集中することにした。
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