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遼太郎と別れ、姉と屋台に戻る。
花火会場に移動する人混みに逆らって進むのはなかなか大変だった。
「あれっ、及川?」
屋台でジュースを買い、再び会場に戻る途中、背後から声をかけられた。
振り返ると、同じクラスの男子が目を丸くして立っていた。
「あ、壽崎くん」
「よかった。浴衣だから別人に見えて声かけるか迷った」
あまり喋ったことのない男子だったけれど、彼は少し照れたように笑った。
「莉穂、私あそこで待ってるね」
別に長話をする予定はないのに、気を遣ったらしい姉が少し離れた場所にある道端の木を指さした。
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