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息苦しい空間、仲間の不規則な吐息、周りを見ると皆疲労の表情を少なからず浮かべながら目の前の敵に警戒を強める。
「がぁあああああああ!」
敵の咆哮が狭い密室の中に響き、余計に皆の警戒と緊張を強める。
『アイシクルスパイク』
仲間の魔法使いが氷魔法を使い、敵の前足を凍り付かせ、身動きを封じる。敵も身動きが取れず、自身の最大の特徴である巨大な黒く鋭い爪が封じられ少し困惑した様子を見せたが、狭い空間での咆哮と口から出す黒い炎でこちらの行動を封じられた。
「足は拘束しました!チャンスです!」
魔法使いはそう叫ぶが今敵に突っ込めば耳を劈く咆哮と全てを焼きつくす黒い炎がその身に待ち受けているので動こうにも動けず、たじろいでしまう。
「ふっ」
「がぁああああああ!」
「片目を潰した!首下まで突っ込め!援護する!」
敵のいきなりの叫びに一瞬戸惑いはしたが、それが仲間のハンターが放った弓の一撃によっての痛みの叫びだという事が分かった。そしてそのハンターは新しい矢を番えるとそう叫んだ。
「わ、私も援護します!朧、お願い!」
『狐火』
ハンターの近くにいたビーストテイマーの少女もそう叫ぶと自身が契約した白狐に命令を下す。白狐は少女の命令通りに青い炎を自身の周りに纏わせそのまま敵に突っ込む。白狐の狐火事態は敵にあまりダメージを与えることは出来ないが、少しの間怯ませ動きを封じることは出来た。
「いまだっ!やれっ!ユウキ!」
ハンター、ビーストテイマーに続くようにガーディアンの男の後ろで待機をする神官の男がそう俺の名前を呼ぶ。俺もみんなの言うことを信じ、自分の竦んだ足に鞭を打ちながら、左手に一丁の銃と右手に両刃の片手直剣を握り直し、目の前の敵に突っ込んだ。
左手に持つ銃に魔力を込め、牽制として数発撃ち放ち、魔力を込めた弾丸により発生した煙幕に紛れながら敵の首元まで潜り込んだ。そして、煙幕が薄れる前に右手に持つ両刃の片手直剣に自身の今ある最大魔力を込め始める。
「はぁああああ!」
ユウキは目の前にいる全身を赤い鱗で纏った死のドラゴン、通称”デスドラゴン”の首を縦一振りで切り落とした。
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