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「……ここは……どこだ?」
目を覚ますと辺り一面の暗闇だった。風もなければ音も光もない、ただただ暗闇だけが広がる場所だった。この場所がどこなのかを考えていると、不意に自分の後頭部に痛みが走った。
「ッ!……確か学校の帰り道に誰かに殴られたのか?」
痛みのする傷口にゆっくりと手を運ぶとさらに痛みが走る。指の先にはヌルっとした液体の様なものがついている感触がした。痛み的にどうやら出血しているようだ。しかし、誰がそんなことを。俺、恨み買う様な事したっけな?そんなことを考えながら手探りで歩いていくが、前に出された腕は何かに触れることなく虚しくも空を切った。
「はぁ、頭は痛いし、周りには何もないしでなんなんだよ。マジでどこだよ、ここ」
出口もないし、何も見えないことに次第に苛立ちが沸き、ブツブツと文句を呟きながら歩くことを止め。床にどすんと座る。しばらくその場で座って考えていると、微かに後ろの方から足音らしき音が聞こえてくる。
「ッ!…今、何か聞こえた」
音のした方に耳を向け、澄ませているとまた聞こえてくる。
ーーーーーコツーーーーーコツーーーーーコツ。
「ッ!やっぱり聞こえる…おい!誰かいるのか!!いるなら返事してくれ!」
音のする方に叫んでみたが、返事はなく、ただただ足音が近くなっていくだけだった。次第に足音は自分の目の前で止まった。だが、目の前には何の気配も感じない。もしかして幽霊か?極限状態にいるせいか普段では考えない事まで考えてしまった。
「……お、おい……返事くらい、してくれよ」
恐る恐る手を前に出しながらそう言うと、目の前にいるはずの者は何も言葉を発せず、ユウキの耳に聞こえたのは空を切る音だけだった。それと同時に腹部に痛みが走る。何がされたのか一瞬分からなかったが、それは次第に痛み、そして何かが自身の足を流れていく液体により何をされたのか理解する。
「ぐッ!なに、を……」
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