片思いから始まる関係

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だから、片岡の結婚式が終わったら渡そうと思って準備していたものがある。 「本郷」 「…なんだよ」 「………これ」 コートの左ポケットから小箱を取り出す。装飾も何もないその箱を、ずい、と本郷の目の前に差し出して、真っ直ぐ目を見て口を開いた。 「受け取ってくれ」 「………」 最初訝しげに眉を顰めた本郷だったが、俺がパカ、と蓋を開けると、驚いたようにゆっくりと目を見開いた。 「お前…」 「ん?」 「…ぶっ、あははっ」 「…???」 目の前で盛大に吹き出し笑い出す本郷に呆気にとられる。なんで笑っているのか見当がつかず、頭に大量の疑問符が浮かんだ。 「ちょ、おい…、本郷…?」 「いや、…くっ、…ぶははっ、おま、お前マジか!」 本郷はひーひー言いながらお腹を抱えている。 おいちょっと待て。俺は今、全然笑えるようなことしてないぞ。むしろ緊張で手が少し震えるくらいだというのに、なんでお前、そんなに笑ってんだ。 少しムッとしながら心の中で文句を言っていると、ひとしきり笑い終えたらしい本郷が、はぁ、と最後に大きく息を吐き出して、やっとこちらを見た。
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