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お前は、いつも他の誰かを見ながら、俺と一緒にいるんだな。
同級生の結婚式があった。
そいつは高校のクラスメートで、いつも輪の中心にいるようなムードメーカーと呼ばれる存在だった。
高校1年で同じクラスになり、どういうわけか3年間クラスが同じで、よく一緒にいるグループは違ったけれど、それでもこうして結婚式には呼ばれている。他にも見知った顔が多くいたので、高校の同級生もそれなりに呼ばれているらしい。職場の先輩や上司らしき人もいるが、若く、学生時代を共に過ごしたのだろう人物が大半を占めていた。
その中には、あいつもいた。
高校時代、新郎とよくつるんでいたあいつは、当然のように呼ばれていて、友人代表を務めた賑やかな同級生と同じテーブルに座っていた。何を考えているのかわからない静かな表情で、式も、披露宴も、じっと新郎の姿を見つめていた。
あいつが、いつも彼を見ていることに気がついたのはいつだったか。
あれは高校時代、何でもない夏の日だった気がする。
偶然見つけてしまったあいつの秘密。それは、彼にとってはとても重要なことで、しかし気づかれたことに対しては、至極どうでもいいような顔をしていた。
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