二人の時間-1

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*** 季節は梅雨のはずなのに、雨らしい雨も降らないまま、七月を迎えていた。 プロジェクトはいくつものチームに分かれて作業を進めているけれど、今のところ大きな問題の発生はなく、おおむね予定どおりに計画は進行していた。   今日は終日、調査会社との打ち合わせや現場視察などで、遼太郎と二人で外出して いた。 日差しが強い季節になり、夕方になる頃には、お化粧が取れていようが構うゆとりもないほど、クタクタだった。 そもそもスケジュール自体がパンパンに詰め込ま れていて、西岡課長には申し訳ないけれど、エリート社員の〝普通〟のレベルをまざ まざと見せつけられていた。 「今日は直帰でいいよ。かなり回ったからな」   足を引きずる私を見て遼太郎が笑う。 顔を見上げると目が合った。 「俺は後から帰る」   遼太郎の部屋で待っていて、という意味だ。 無言でうなずいて、駅までの道を二人で歩く。
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