二人の時間-1

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電車を数本乗り継ぎ、湾岸地区に向かう。 その地区では橋梁だけでなく、物流ターミナルや道路などの周辺施設の工事が大規模に行われていた。 事務所で現場監督の方に挨拶し見学の旨を伝えると、私たちは倉上のマークがついたヘルメットを被って建設中のビルの屋上に上がった。 初夏の強い日差しは西に傾き、空から地面からの熱気と砂塵でむせ返るようだ。 「ここからだと工事の全景がよく見える。足元に気をつけろよ」 仮設の安全柵に恐る恐る近づき、遼太郎の隣に並ぶ。 眼下には今まで見たことのない眺めが広がっていた。
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