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「最初はうまくいってたんだ。でも、奥さんとその男が再会してしまったんだな。それで今、こうなってる。奥さんも結婚した以上は僕に添い遂げなければと悩んだと思う。その末の決断だから、僕は奥さんの決断を受け入れる」
手にしたまま吸うのを忘れた煙草が長細い灰になっているのに気づき、課長がトントンと煙草を叩いて灰を落とした。
「こんなことになっても、僕は彼女と結婚したことを後悔していない。僕たちが結婚したことも、彼らが再会したことも、必ず意味があるんだよ」
さきほどのフレーズは、西岡課長が自分自身に向けたものでもあったのだろう。
「こういう事情だから、及川と噂になろうが誤解されようが、僕に迷惑がかかることはない。あいつ面白いから、むしろもっと嫉妬させてやれば?」
そう言って課長はあっけらかんと笑った。
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