二人の時間-1

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遼太郎は私と繋がるとき、いつも丁寧に全身を味わい、感じている私の顔を眺める。 「見ないで……」 熱い息を吐いて喘ぎ、遼太郎の首にしがみついて顔を隠すと、今度は太腿の柔ら かな部分をもてあそばれる。 「ダメ……」   私は昔から容姿にコンプレックスがある。 姉や市川さんとは似ても似つかない、 むっちりとした丸い胸や腰を遼太郎にさらすことが、最初のうちはとても恥ずかし かった。 あるとき、「ぷよぷよだから……」と思わず漏らすと、遼太郎は欲情した表情のまま噴き出した。そして、いっそう動きを激しくした。   昇りつめた私に遼太郎は熱を注ぎ込みながら、「あいつと寝るな……」と言うこともあった。 遼太郎が毎夜のように私を独占するのには、きっとそんな想いもあるのだ ろう。 遼太郎にとって、私の不倫を食い止めることは、姉の身代りとしてちょうどい いのかもしれない。
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