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「あの大学は護国寺のあたりだろ。ここに大学があったのは、俺たちが生まれる前のこ とだ。ほら、おチビにはここだ」
小物の整理を終えた遼太郎は、ティッシュで棚を拭きながら、他人事のようにさら りと言って洗面所を出て行った。
洗剤やらの買い置き品が上の段にまとめられ、一番低い場所にあった歯ブラシホル ダーも装備された棚が綺麗に空けられていた。
護国寺だってここから近い。
姉は昔、遼太郎の部屋に通っていると私に匂わせてい た。
さすがに大学時代から不倫していたわけではないだろうし、姉が一度もここに来 ていないなんて信じられなかった。
心にわき上がる喜びを、そんな疑問で火消ししながら、私は特等席のような場所に、そっと自分の持ち物を入れた。
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