二人の時間-2

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「たぶん花火大会のときも俺たちは仕事してるんだろうな」 「外出仕事は無理だね。身動き取れなくなっちゃう」 遼太郎はタブレットで地図情報を確認してから、「そうだな」と苦笑した。 「花火会場の河川敷、散歩がてら行ってみるか。ここから近いし」 「うん」 私は足を止めてもう一度A地区を振り返った。 「この地区にあるものは、デベロッパーからすれば即撤去になるようなものばかりかもしれない。でも、ここで育った人たちにとってはどうなんだろう?」 私がこう言うと、遼太郎も立ち止まった。 「地元の経済効果のために人気スポットにすることも大事だけど、すべてが新しく便利になる代わりに、どの街にいるのかわからなくなるっていうのはないのかな」 意地を張って就職でも帰らない選択をしたけれど、本当は家族の形を壊してしまったことを悔やんでいた。 苦い出来事を忘れようとして、幸せだった思い出まで否定してしまったから。
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