二人の時間-2

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「いろんな思いで故郷を離れている人がいると思う。その人たちを優しく迎える場所であってほしい」 じっと黙って聞いていた遼太郎が腕を伸ばし、私の手を握った。 それからゆっくりと歩き始めた。 彼がそんなことをしてくれるとは思ってもみなかったので、私は驚きや嬉しさを噛みしめて、ただ彼に寄り添って歩いた。 しばらく住宅地を進むと、多摩川の土手が見えてきた。 土手を下り、静かな河川敷の小径を暗がりに紛れて手を繋いで歩く。 「故郷と呼べるものがあるのは幸せなことだよな」 不意に遼太郎が独り言のように言った。 「そういえば川越の前は神奈川に住んでたんだよね。どこだったの?」 「横浜。でも三年ぐらいだったから、故郷って訳でもない」 じゃあその前はと私がたずねる前に、遼太郎は驚くようなことをさらっとした口調で続けた。
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