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「西岡課長とはどういう関係だ?」
前にも聞かれた質問だ。
あのときは捨て台詞を吐いて逃げたけれど、今は肯定できない。
なぜなら、市川さんと西岡課長は結ばれているのだから。
嘘をつけば、迷惑をかけてしまう。
「課長とはなんでもないんだろ? じゃあなんであの夜、抱き合ってたんだ?」
「……」
何も答えられない。
一歩近づいた遼太郎を慄きながら見つめる。
何があっても気持ちは明かさない。
言えば、遼太郎が抱えるものをさらに重くしてしまう。
「課長となんでもないなら、どうして俺と寝た?」
質問が核心に迫り、また一歩下がった私の後ろでファイルの山が崩れる音がした。
これ以上逃げられない。
後ろに下がろうとしてファイルにつまずき、よろけながら私は叫んだ。
「……言えない。絶対に、言えない!」
「好きだ」
私の声に重なった彼の言葉が、私の動きを止めた。
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