1408人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして長い間、付き合ってることになってたの?」
呆然としながらたずねると、遼太郎は真っ直ぐに私を見つめて答えた。
「罪悪感だ。俺は美穂にどうして踏み込めなくて、ほとんど実体のない付き合いだった。俺が別れを切り出したとき、美穂は別れる代わりに約束を求めたんだ。親に恥をかきたくない。親には付き合ってることにしていてくれ、と」
「……」
「大学に入ってからは家にいる時間は短かったし、俺の知らない所で親が盛り上がろうと構わなかった。だから放置したんだ。煩わしいことから逃れて一人暮らしを始めたら、そんなことは忘れてしまった」
「でも……。お盆に、お姉ちゃんと抱き合ってたじゃない」
「えっ?」
今度は遼太郎が目を見開く。
「うちのリビングで……」
下を向いた私の声が震えた。
最初のコメントを投稿しよう!