お重箱とお味噌汁。

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そして、昼休みがやって来た。私は、 「「おーーー!」」 「つい、作りすぎちゃって。」 今朝拵えてきたお重箱の中身を開けた。 「可愛い~!お花の人参だ~!」 「やった!ハンバーグ入ってる!ナイス木ノ下!」 真っ先にテンションを上げてくれたのは美羽ちゃんと葵くん。葵くんが親指をグッと立てるものだから、ついつられて、私まで親指を立ててしまった。 「まさかこれ、全部一人で作ったの?朝から?」 「ううん。煮物は昨日の残り物だよ。申し訳ない。」 「全然。味が染み込んでて美味しい。」 そう言って、里芋を頬張る心ちゃん。皐月くんと新くんはと言うと… 「バッッカ新、芽生の玉子焼きは俺んなんだよ!」 「何っっでだよ、木ノ下さんの弁当だろ。」 何故か玉子焼きをめぐって、新くんの箸を掴む皐月くん。と、それに抗う新くん。 「あの、皐月くん。いっぱいあるから。」 「駄目だ!芽生が何と言おうと玉子焼きは譲らない!」 (皐月くん…そんなに玉子焼き好きなんだ。明日はもっとたくさん作ってこよう。) パクッ! 「あ゛!!」 「早い者勝ちだ、バーカ。」 「早い者勝ちも何も、まだまだ残ってるじゃない。」 パクッ 「あ!神崎まで!」 「ツッキー、心せまーい。」 パクッ 「そう言いながら、お前まで食うなよ大島!」 「美味ー!今日のは甘味だな!」 「葵まで!~っ、何でみんな玉子焼きに群がるんだよー!」 「あんたが玉子焼きに執着するから、つい。」 口をもぐもぐ動かしながら、心ちゃんは至って平静な面立ちで答えた。これまでのやり取りが何だか可笑しくって、
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