初めまして。

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初夏。 暖かな風に頭を撫でられて、私、木ノ下芽生(きのした めい)は今日も屋上でお弁当箱を広げている。 と、言うのにも訳がある。簡単に説明するのであれば、つまり私は“ぼっち”なのである。 極度の人見知りに輪をかけて、高校の入学式当日に高熱を出し、初日から学校を欠席した。 そしてどのグループの輪に入れるわけもなく…私は今日も一人でお昼休みを過ごしている。 が、悲観しているわけではない。中学生の時からこうなのだ。“今更”である。 (!!、日焼け止めクリーム塗るの忘れてた!) ガサゴソと、隣りに無雑作に置かれたリュックに手を伸ばす。 本来、屋上は生徒立ち入り禁止場所である。担任の先生にそう言い聞かされた。 しかし、ぼっちが慣れっ子の私でも、和気あいあいとした教室での一人ご飯は中々辛いものがある。 そう言う訳でお昼休みを快適に過ごせる場所を探していたところ…此処、第二校舎の屋上の鍵が壊れていることに気がついた。 (よし!OK!) その日から、此処は私にとって都合の良い場所になったのだ。私は日焼け止めクリームをリュックに戻すと、またお弁当箱のサンドイッチに手を伸ばした。 (うん、我ながらよくできている。美味しい。) ハムチーズのサンドイッチを一人味わい「なあ、何で教室で食わねぇの?」 (………。ひと、り。で?)
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