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頭上から降ってきた声の方へ顔を上げると、其処には学年のアイドル森本皐月(もりもと さつき)くんが私を見下ろしていた。
「お、てか美味そー。一個貰ってもいい?」
そう言うと森本くんは、私の返事を待たずにお弁当箱から玉子サンドを取り出して隣りに腰をおろした。
(え!?何!?なんで王子様が此処に!?話したこともないのに!何!?何が目的なの!?)
「何これ!美味っ!玉子ふわっふわじゃん!」
「あ、嗚呼、ありが「こっちのおかずは何?」
「あ、それはささみの梅紫蘇巻きで…。」
言い終えるよりも早く、森本くんはまたしてもおかずをひょいっと口に運んだ。
「美味ー!なぁなぁ!これ売りもんじゃないよな?手作り?おふくろさん?」
「いや、それは私が「マジで!?木ノ下さんいい嫁さんになるよ!」
彼は人の言葉を聞く気があるのだろうか…幾度の言葉の遮りに、このハイテンション。若干、ついていけないものを感じる。
(!、そうか。目的はご飯なのね。)
自分の中の疑問を一つ解消すると、私は恐る恐る口を開いた。
「あ、有り難う御座います。あの、森本くんこそどうして此処に?此処、一応立ち入り禁止エリアなんですけど。」
「ああ、バスケ部の勧誘から逃げてきた。そしたらここ鍵開いてんじゃん?で、いっつも昼休みになると教室出てく木ノ下さんがいるじゃん?だから。」
「ああ…そう言うことでしたか。」
「てか何で敬語?タメなんだからさ、普通に話してよ。クラスも一緒なんだしさ。」
「あ、う「てかさ!もう一個玉子サンド貰っていい!?」
やはり、彼に人の話を聞く気は無いようだ。しかし、犬が尻尾を振るように、チワワが目を潤ませるように懇願されては、誰も断れないだろう。
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