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翌日。
「………。」
(「堂々と教室で昼飯食いなよ。」)
昨日の、森本くんの言葉が頭を過る。が、お弁当箱の入っているリュックを持つ手はふるふると震えていて、止まりそうにない。
(教室で…。)
一番後ろの真ん中の私の席。其処から教室を見渡すと、やはり和気あいあいとしているクラスメイト達の姿が瞳に映った。
下がる眉、私はひとつため息をつくと、リュックを抱えていつも通り屋上へ向かおうとした…その時、
「芽生!」
後ろから、森本くんに襟を掴まれた。
「え、え?な、何?」
「一緒に弁当食おうぜ。」
瞳に映るのは、爽やかで、愛嬌のある憎めない笑顔。
「で、でも…。」
戸惑い、俯くと、頭上から優しい声が聞こえてきた。
「大丈夫だから。」
その声に誘われるように、躊躇いがちに顔を上げると、森本くんはやはりニッと笑っていた。
「俺がいるから。」
「………。」
「皐月ー、飯食うべー。」
「今、行く!」
森本くんに左肩を抱かれて、私は一つのグループへと歩みを進めた。鼓動が早い…否、今にも止まりそうだ。すると、
「あれ?確か、えーっと、木ノ下さん?どうしたの皐月くん。木ノ下さん連れて。」
名前を呼ばれて顔を上げる。其処には、長い黒髪が美しい、神崎心(かんざき こころ)さんがいた。
「芽生な、めちゃくちゃ料理上手いんだぜ!昨日偶然知ったんだ。」
「マジで?弁当見せてよ。」
森本くんの言葉にいち早く飛びついてきたのは下谷葵(しもや あおい)くん。彼もまた、森本くんと同じでクラスのムードメーカー的存在だ。
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