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「あー!芽生ちゃんが笑った!可愛い!」
美羽ちゃんが私の手をとって笑いかけてくれた。
「これから仲良くしてね、芽生ちゃん!」
その瞬間、涙腺が外れた。私の瞳から、大粒の涙がボロボロと頬を伝っていく。
「ちょっと美羽!何、泣かせてんの!」
「え?ええ!?うち?ごめん、芽生ちゃ「違、違うの。」
私は、手の甲で涙を拭いながらはっきりと思いを声に出した。
「私、人見知りで…。中学で友達いなかったから…だから、嬉しくて。」
「バカだなー木ノ下。」
「ちょっと!葵まで!」
「芽生、俺たちもう友達だろ?」
「宜しくね、木ノ下さん。」
目の前で笑いかけてくれる人たち。私には到底、手の届かない場所だと思っていた。何だろうこの気持ちは…まるで陽だまりに咲く花のように穏やかで、暖かだ。
「よ、宜しくね!」
皐月くんに頭をくしゃくしゃと撫でられて、心ちゃんに涙を拭いてもらって、皆んなでおかずを交換しあってお昼休みを過ごした。
初めての…初めての友達との穏やかな時間を、皐月くんが運んできてくれた。それはとても心地良くて、大袈裟だけれど“幸せ”だと感じた。
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