Ⅰ. もう一つの物語 パラグラフⅠ:22年前、襲撃

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 安全策として、俺が個々の依頼に保険をかけていることをそいつは知っている。俺がザックを連れて絶賛逃亡中なのも知っている。そういう人間は限られる。ごくごく限られる。自ら正体を明かしているようなもんだ。  目的は明々白々。俺を消せばそいつは毎晩ぐっすり眠れる。加えて組織にザックを献上すれば、周囲をだし抜いて一歩上を目指せる――いかにもな展開だが、残念ながら実益は伴わない。なぜなら“保険”はすでにしかるべきところに委ねてあるし、組織は“騒ぎ”を嫌う。  スルーされたのち、日英両方の諜報機関に抹消されるのがオチだ。 可能性③ 俺の客②馬鹿  俺の生存が安眠を妨げている、だから俺を消そう。何らかの方法で長らくストーキングし続けた結果、ついにその機が訪れた!  ナイナイこれだけはナイ、ばくしょー。    ②で決まりだな。さて、裏切り者はどこのどいつか? 絞り込み快調!
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