Ⅰ. もう一つの物語 パラグラフⅠ:22年前、襲撃

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 チームはいくつかの班に分かれ、山小屋内部と周辺をくまなく“掃除”していく。  今回のケースはいつにもまして制約が多い。  その最たるが時間だ。  現場が別荘地のはずれでオフシーズンだったのは幸いしたが、通報されていない保証はない。  地元警察の介入は絶対に避けなければならない。  現時点でパトカー一台現れないということは、仮に通報を受けていたとしても、当直が一人しかいないなど、奥地の警察にありがちな理由で、出動を見合わせているのかもしれない。  好都合だが、明けがたから動き出す可能性も否定できない。  染谷は梶井から知り得た情報を班長に開示し、各メンバーが分析ソフト等駆使して、あらゆる可能性を割り出していく。  屋内での銃撃戦の痕跡はないが、外であったのなら薬莢一つ取り残してはならないのだ。  極限の緊張状態で、時間との闘いが続く。
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