4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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 何でこうガキ扱いなのかな、由宇次郎もエリも。プリンは嬉しいけど。  カウンターで魚をつついていると、真宮が「ハヨ~っす」と言いながらやって来た。 「お、うまそう! エリ、俺にも」 「おまえは家で食ってこいよ」 「んにゃ、起きたら食うもん何も残ってなくて。親父は出張だし、お袋もガキども連れてどっか行っちまってて。なーんも用意されてない俺、超カワウソ」  ワッハッハッと大笑いしながら、エリが真宮の分をトレーにセットする。 「おまえが臭うからじゃないのかぁ? 思春期男子の臭いは加齢臭と同じくらい嫌われるからなぁ(笑)」 「げっ、何よそれ~。俺、お袋に嫌われてんの? クサイからメシ抜き!? ヒドくね? 親父よりクサくないと思うよ、俺」  そう言いながら、自分の脇の周辺をクンクン嗅いでみせる。
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