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「女性はニオイに敏感だからなぁ。気ィ抜くと一発で退かれんぞ。気をつけないと……なあ、アディ?」
知るか!
「ふ、ま、いーけどさぁ……それはそうとアディ。おっまえー、魚食うのヘタクソ杉。ほじくらないで開くんだよ、箸でこうやって」
「俺、日本人の血ちょびっとしか入ってないもん。こーいうのはいつも由宇次郎の担当だし」
「関係ねーって。由宇次郎日本人に見えるか? やってもらってるとかどんだけ? ああなったらどーすんの!? ホラ、よく見てみ。こうやって……」
おまえは俺のいったい何? 母ちゃん!? 由宇次郎みたいになったら………うん、ダメだな。意志の問題じゃなく方向性としていくない。
店には僕らのほかに客はいなくて、これから昼までは小休止だ。エリは洗いものをしながら僕らの様子を笑って見ている。
優しい眼差し、機嫌良さげな鼻歌……いいな、こういうの。うん、こういうのがいいよ、やっぱり。
「で? 俺、今日からおまえん家泊まるカンジでいいの、アディ?」
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