4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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 この辺でそろそろ、僕らがFCP――知的(軽)犯罪者更正プログラムにたずさわることになったそもそものいきさつ、背景事情について話しておこうと思う。  “フロックチャイルド”っていう俗称にはもう一つ、別の意味が含まれている。というか、実はこっちが正式だったりする。  前にも言ったと思うけど、フロックとは細かい浮遊質の集合体。  宙に浮いたまま行くあてのなくなった子供たち――つまり僕ら――を、当時の対策本部がそう表現したのが始まりだそう。それがいつのまにか定着した。  急ごしらえの対策本部はそのまま、フロックチャイルド・プログラム執行本部となった。  知的(軽)犯罪者更正プログラムをフロックチャイルド・プログラムと呼ぶのは、執行官である僕ら全員がフロックチャイルドだからだ。
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