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仮想空間という皮膜に蔽われた大海原に、自由と無限の可能性を求めて旅立った僕らはほどなくして、そこが天も地もない、どこまで進もうが果てのない暗い海であることに気づかされた。
勇んで漕ぎいでた希望の溟海は幻のごとく消失し、儚い仮想世界をあてどなく彷徨わなければならなくなったことに気づかされたのだ。
結局、僕らは自我――檻を再構築せざるを得なくなった。そしてそれには、副次作用がともなった。
以前より拡大した自己意識により、知らず知らずのうちに不機嫌・不寛容になった。
直接的コミュニケーションは減少し、好戦的なネットコミュニケーションに快楽を求めるようになった。予想だにしなかった意識変革が現実になってしまったのだ。
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