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自我の再構築と意識変革を経て、生物の基盤ともいうべき種の存続をつかさどる婚姻・家族制度に変化が起こり始めた。
若い世代を中心に、結婚して家族を形成することが生存の基本原理、という考えがなくなり始めたのだ。
少子化→人口減少問題を何とか是正したい国にとって、これは受け入れ難い変化だった。
そこに輪をかけ、欧米と比較して国際間での養子縁組に消極的かつ近隣諸国ほど国外移住が多くなく、移民流入も少ない――安定国家の証であると同時に高くそびえ立つ障壁にもなっているお国事情がわざわいして、問題を食い止める手だては皆無に等しかった。
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